「アンセイン~狂気の真実~」は鬱映画でOK?
どうも。気になった監督の映画は、とりあえず全部追いかけるスタイルの人間です。
今日は、自分の中の鬱映画BEST10の中の1本のことを、ちまちまと書きます。
ちまちました量じゃないのは確定。確信犯でやってます。
見逃して?
『アンセイン~狂気の真実~』
全編iPhoneの4Kカメラで撮影したという、前衛的な作品。
しかも、動画用アプリも使ったらしいよ。
カメラと機材だけでも相当ちゃりーん(紙?カード?小切手?)が飛ぶはずなのに…iPhoneで撮影…アプリ…スマホがあれば何でもできる世界か?!
しかも、これが2018年にアメリカで公開されたとか。実にけしからん。
・キャスト
ジョージ(デイヴィッド・ストライン):ジョシュア・レナード
ネイト・ホフマン:ジェイ・ファロー
・監督
【ストーリー】
新しい土地で新しい仕事を始めたソーヤ。
しかし彼女には、ストーカーに追い回された過去があった。
ストーカーには接近禁止命令がでているものの、不安でたまらなく、相談できる相手もいないため、ネットで調べた病院でカウンセリングを受けることにした。
女性のカウンセラーと話をして、自殺願望についてやけに詳しく聞かれるものの、気分は晴れた。
そして、ソーヤは書類にサインを求められる。「形式上のものだから」と言われるままサインをして、受付けで予約の確認を求めると、なぜか検査室に連れていかれる。
話を聞いてもらえないままバッグや貴重品を取られ、無理やり検査を受けさせられたソーヤが連れていかれたのは、精神病棟。
ソーヤは、自分はどこも悪くないと主張するが、すればするほど「危険人物」にされていく。
そしてそこには、ソーヤを2年以上ストーカーした男、デイヴィッド・ストライアンの姿があった。
だが、彼はストライアンではなく、病院スタッフのジョージだという。
ソーヤは次第に、自分が正気なのか病気なのか、わからなくなっていく。
しかし、同じ病室のネイトは、ソーヤは健康だと励ましつつ退院までの7日間をおとなしく過ごすよう助言をするのだが…。
【感想と、なんとなくのネタバレ】
一言。「病院ってこえぇぇぇぇぇぇ!管理体制うっすい!!」
いや、もう、ソーヤの入院があまりにもホイホイ行くもんで、おかしいぞーって思いながら止められない止まらないのが気持ち悪い。
「あなたの為だから」って言葉が、RPGゲームとかの最強呪文かってくらい効く。
そして反論を許さずに動くスタッフたち。手慣れ過ぎ。(映画だからね)
健康な人が、あれよあれよという間に精神病棟に無意味に強制入院させられて、「私は入院する必要がない」って騒ぐほど「危険」って言われて、注射されて薬増やされて…。
普通に病むわ!
しかも、医者の態度が酷すぎ。
ソーヤが「ちょ、こっち向いて。顔見て話して。」って言わないと、顔すら見ない。
最終的には「電話だから出ていってねー。続きはまたね」って。診察とは?
そして、病院の恐怖に戦慄する中、追い打ちをかけるように登場するストーカー男。
彼がストーカーのストライアンなのか、全くの別人の病院スタッフジョーなのかは、見てのお楽しみ…と言いたいんだけど!
早々にわかっちゃう。
こいつ、ソーヤの薬を勝手に増やして暴れさせたり、いちいち挑発してくんの!
ストーカーがやってることも気持ち悪いけど、病院スタッフが「あなたの為よ」って押し付けてやってることも気持ち悪い。
そして、ソーヤが警察に通報しても「いつもの変な電話」って笑いながら対応してる警官と病院スタッフ、おいおい大丈夫なのか。
ソーヤママンが助けに来ても、地元の弁護士は数日我慢しなよって相手にしてくれない。病院が雇ってる専門家(こっちも弁護士?)の女性は「ソーイの将来に傷がつく。かもしれませんねぇ~?」とか。八方ふさがり、四面楚歌。ママンじゃなくても泣いちゃう。
そんなね、スタッフが笑ったり、ママンと私が泣いてる間に、ソーヤには命の危険が迫ってくるわけですよ。
で、そんな圧迫された中でいい味出してるのが、ネイトとヴァイオレット。
ネイトは同じ病室の黒人男性。ちょっと訳アリで病院にいるから、ソーヤに助言したり、スマホを貸してくれたりもする。
病院内でのソーヤの唯一の味方なんだけど、ネイトはソーヤを全面的には信じてない。
で、ヴァイオレットは、ソーヤの隣のベッドの女の子(女性?)。
この子は、病気で入院してる。
凶器隠し持ってたり、いちいちソーヤに絡んだり、まぁ終始ひっかきまわしてくれる。
最後はストライアン(ジョージ?)の悪事もバレるし、病院の闇もしっかり暴かれるんですけどね。
終盤で腹を括ったソーヤの行動が、いろいろと不安になった。
そしてラストは、ちゃんと鬱エンド。
とりあえず、「あなたの為」=「私の為」じゃないんだって実感できる映画でした。
で、実はこれが一番怖かったんだけど。
ソーヤは最初から病んでた?病院に無理やり入れられて、ストライアンと強制的に接触させられることで病んでいった?それとも、全てが終わったと同時に病んでしまった?
作中で、ストライアンによって大量に薬を飲まされてラリった後のソーヤが、「私は本当は病気なんだ」って泣き言をいうんだけど。
自分が自分でわからなくなるのって、相当な恐怖だよね。
たぶん、ソーヤが病んだかどうかの線引きは視聴者にお任せスタイルの映画だと思う。
でも、個人的には、それがやたらと怖かった。というか、不気味に近い。
余談ですが、原題は「Unsane」で、「sane」は正気とか健全って意味。
対義語は「insane」とか「crazy」で、「Unsane」って言葉は無いんだって。つまり、監督の造語…?
crazyでもsaneでもない、その中間ってこと?妄想だけど。
だとしたら、この映画のすべてに納得でございますよ、えぇ。