受け継いだものは予想を超えてた「ヘレディタリー 継承」
どうも。
話題作「ミッドサマー」を見た時、「ヘレディタリー 継承」監督作品?いやいや、公開された頃に見たわ!でも内容覚えてないよ、それならまた見ればいいじゃーーーん!!って脳内会議が開かれました。
そりゃもう、脳内ポイズンベリーばりに。
で、アマプラで無料配信中だったんで、「ミッドサマー」と「ヘレディタリー 継承」を続けて見たんですけどね。
いや、もう、アリ・アスター監督作品好きだわ。
相当なお気に入り映画「ミッドサマー」の感想レビュー記事はこちらららん。
そんなこんなで、「ヘレディタリー 継承」の感想やらなんやかんやを書いていきます。
【ヘレディタリー 継承】
2018年のアメリカのホラー映画。
サンダンス映画祭でプレミア上映され、高評価を得ている。
監督・脚本は、本作が長編映画デビュー作となるアリ・アスター。
原題は「Hereditary」。
【登場人物】
・アニー・グラハム(トニー・コレット):ピーターとチャーリーの母で、スティーヴの妻。ミニチュア模型作家をしている。兄を自殺、父を餓死という形で亡くしていて、亡くなった母とは不仲だった。夢遊病だった時期があり、そのせいでピーターとギクシャクしている。
・スティーヴ(ガブリエル・バーン):アニーの夫で、ピーターとチャーリーの父。
・ピーター(アレックス・ウルフ):グラハム家の長男。思春期の真っ只中。母アニーとの間に大きな溝がある。
・チャーリー(ミリ―・シャピロ):グラハム家の長女、ピーターの妹。ピーナッツアレルギーがある。独特の感性の持ち主で、口を鳴らす癖がある。
・ジョーン(アン・ダウド):アニーの友人女性。セラピーでアニーと知り合う。娘と孫を亡くしている。
【あらすじ】
アニーの母、エレンが他界した。
その後、アニーは不可解な現象に悩まれるようになるが、夫は信じてくれない。
とある日の夜、ピーターは友人たちのパーティーに誘われる。しかし、アニーから妹を連れて行くことを条件に出され、渋々従うピーター。
チャーリーはパーティーで出されていたケーキを食べ、アレルギー発作をおこす。慌てて病院へ連れていこうとするピーターだったが、途中で不慮の事故が起こり、チャーリーは亡くなってしまう。
愛娘も失ったアニーはひどく落ち込み、自責の念に苛まれるピーターは精神が不安定になり、二人の板挟みになるスティーヴ。
徐々に家族は崩壊していく。
このままではいけないと感じたアニーは、セラピーへ参加しようとする。そこで、娘と孫を亡くしたというジョーンと仲良くなるのだが‥‥
【感想やら考察やら】
この映画、普通に幽霊が出てくる映画だと思ったら、終盤でひっくり返される。
いわゆる、どんでん返し系。
でも普通にどんでん返しがあるだけじゃなくて、小ネタ(隠しネタ?)が大量にある。
とりあえず、初見では騙されておいたほうが楽しい作品。いや、ちょっとグロいけど。
「幽霊だけど幽霊じゃない!」
ホラー映画=幽霊・悪魔・殺人鬼・モンスターみたいな定番設定あるよね。そういうのに狙われたり、退治したり。
まぁ「ヘレディタリー 継承」も、死んだエレンの幽霊みたいな影とか、チャーリーの幽霊っぽい存在とかは出てくるわけですよ。
ただ、チャーリーの存在を感じてるのはピーターだけ。
ピーターのせいで妹チャーリーは死んだようなものだし、アニーは病んで一家崩壊の危機だし、ピーターが幻覚を見たりしててもおかしくない。精神的に追い詰められて、無意識にチャーリーのクセを真似てたり、憑りつかれたと思い込んだり。
本当にチャーリーの幽霊のせいかもしれないけど、精神的な問題かもしれない。
アニーもチャーリーの存在を感じたことがあるけれど、裏で手を回してた人がいるんじゃないの?っていう。
ジョーンに教えられた交霊会をやってチャーリーを呼び出すけれど、それも本当にチャーリーなの?って疑問が残るんだよね。本当は、別モノだったかもしれない。
ホラー映画って、「これは幽霊ですよ」っていう確信があるうえで進むし、違うものだったらネタバレするのが普通……だと思ってる。
だから、最後まで幽霊かどうかは見た人にお任せしておく展開は、なんというか、すごく不気味だった。幽霊じゃなくて、精神的な問題の可能性を残しておくって、アリ・アスター監督はチャレンジャー過ぎる。
「登場人物全員、どこかズレてる」
「ヘレディタリー 継承」は公開された頃に見て、最近「ミッドサマー」を見て、思い出したように「ヘレディタリー 継承」を見直したから言えるんだけど。
ミッドサマーと同じくらい登場人物のクセが強いんじゃーーー!!
まず、主人公のアニーは最初から不安定。
父と兄がけっこう壮絶な亡くなりかたしてるし、夢遊病だったときにピーターとチャーリーにとんでもないことしてるし。夢か現実かはわからない描き方してるけれど、ピーターを産むのは嫌だったとか言い放ってるのもヤバい。
しかも、チャーリーが生まれたときにエレンが母親代わりしようとしたとか、この母子、闇が深いぞ。
チャーリーの事故現場をミニチュア模型で再現したり、キレて模型を全部壊すのも、狂気が垣間見えた。怖いよチャーリーママ。トニー・コレットの迫真の演技も怖いよ。
そんなアニーのクセが強すぎて、夫スティーヴンの印象が残らないという悲劇もあったりなかったり。
ピーターもそこまでクセは強くないんだけど、チャーリーに憑りつかれてからの挙動不審っぷりが容赦ない。いや、心を病んでるだけかもしれないけれど。
これ、アレックス・ウルフの演技力も相当だと思う。
一人二役状態のシーンもあるのに、違和感ないとかすごい、としか言えない。
あとは、途中で壮絶な死を遂げるチャーリー。
チャーリー役のミリ―・シャピロ、何歳でこの役を演じたのか不安になる。雰囲気が確実に違うし、無表情で鳥の首を切っちゃうし、その後は自分の首以下略。
「エクソシスト」で悪魔に憑かれて豹変する少女リーガンとか、「ポルターガイスト」で驚異の無邪気さを発揮した少女キャロル・アンとか、異質な雰囲気を醸し出す少女ってホラー映画に時々いるけど。チャーリーも同じだった。
行動とか言動じゃなくて、空気が違う。
あと、チャーリーの口を鳴らすクセは、ここにチャーリーの幽霊がいる……かもしれないっていう存在表明になってて、上手いなーって思った。思い込みで真似してるだけでも、チャーリーの幽霊の存在感出るからね。
「一家の末路」
ここからは、ネタバレしないように善処しながら書くんだけど。
あの集団の狙いというか、行動力というか、容赦ない!!カルトはやっぱり怖い!!
結局ピーターは乗っ取られたのか、それともピーターが解離性同一性障害(いわゆる多重人格ってやつ)になってしまったのかは明言されてないし、見た人にお任せラストだからわからないけれど。
ただ私は、チャーリーが乗り移った可能性も、解離性同一性障害の可能性も、どっちも捨てられないと思う。そして、ずっと継承していくんだと思う。
まぁ、呪いとかの継承と思ったら「そっちかよ!」という急展開もありつつ、結局幽霊か精神を病んだ結果か、はっきりしないまま終わる映画だったんですけどね。
そんな意外性がおもしろ怖かったよ。
ちなみに「ミッドサマー」と同じように、小ネタというか隠しネタがたくさんあった。
アマプラで無料配信してるうちに見返して、もっと隠しアイテム探してきますわ。全部見つけたらプレゼント……とかないよね。