美女が解剖されるだけの映画、と思うべからず。「ジェーン・ドウの解剖」
どうも。
ひっっっさしぶりに、映画感想レビュー書いていきます。ずっとお題やってたから、ものすごく懐かしい気がする。そして、毎回選んでたタグを忘た。綺麗さっぱり忘れた。これはきっとアブダクションされて記憶から抹消され以下略
あと、これは下書きに埋まってたやつをちょっと書き直してる。下書きを消化しきった後が若干怖いのは、まぁ考えるだけ無駄だと思いたい、うん。
『ジェーン・ドウの解剖』
2016年のホラー映画。
監督は「トロール・ハンター」も手掛けた、ノルウェー出身のアンドレ・ウーヴレダル。
原題は「The Autopsy of Jane Doe」。
【登場人物】
・オースティン・ティルデン(エミール・ハーシュ):代々続く稼業の遺体安置所兼葬儀場を経営する父の元で、検視官補佐をしている青年。父トミーを心配しており、家を出てエマと一緒に暮らすことをためらっている。
・トミー・ティルデン(ブライアン・コックス):オースティンの父で、ベテラン検視官。2年前に妻に先立たれ、未だに立ち直れずにいる。老いた猫スタンリーを妻の形見のひとつとして可愛がっている。
・エマ(オフィリア・ラヴィボンド):オースティンの彼女。仕事を優先しがちのオースティンから、よくデートをすっぽかされる。
・ジェーン・ドウ(オルウェン・ケリー):ティルデン親子が検死解剖することになった、身元不明の女性の遺体。
【あらすじ】
とある殺人事件現場の家の地下から、身元不明遺体(ジェーン・ドウ)が見つかった。早期事件解決を望むバーク保安官は、彼女の検死解剖をトミーに依頼する。
そして、トミーとオースティン父子はジェーン・ドウの解剖を始める。しかし、傷ひとつ無い遺体からは、通常では考えにくい奇妙な点が次々と見つかっていく。
やがて、検死解剖室では怪奇現象が起こり始め、トミーとオースティンは、得体の知れないジェーン・ドウと共に閉じ込められてしまう。
【感想やら考察やらなんやかんや】
検死解剖室だけで進むし、ほぼ2人芝居状態の低予算映画なのに、素晴らしい面白さ(怖さ)。そこそこ怖いし、伏線も張り巡らされてるし、グロ描写耐性ゼロでなければ楽しめる、と思う。
ちなみに、ジェーン・ドウ(Jane Doe)は、身元不明の女性のご遺体とかにつける仮の名前。男性の場合はジョン・ドウ(Jone Doe)。日本でいう「山田太郎」とか「山田花子」的なイメージで大丈夫。
「解剖シーンがリアル」
アメリカのドラマ「CSI」シリーズで、リアリティのある検視官の仕事風景を目にしてきた私だけど、これは一味も二味も違ってた。
まず、全身隠してない。これはね、女性目線でもちょっと「えっ、え?マジで?」って混乱した。女優魂が凄すぎる。まぁ、本当に隠さなきゃいけない部分(内臓)までオープンになるから、ちょっとくらい見えたってどうってことなかったwww
話ズレるけれど、「CSI」シリーズ大好きだったなぁ。マイアミ<NY<<<ベガスで好きだった。鑑識の話なんだけれど、検視官もちゃんと活躍してた。他のドラマで「ドラマで変な影響を受けた鑑識が~」みたいなネタにされてるのも、なんか好き。
NYのスタイリッシュ感も良かったけれど、やっぱり本家のベガスは最高。
ジェーン・ドウにメスを入れたあとで血が溢れていくシーンにはゾッとしたし、グロ映画でもないのに、見ちゃいけないものを見ているような気持ち悪さがある。ご遺体から血が溢れるなんて、滅多にないから。
こういう、普通じゃありえないっていうような専門知識を、トミーがオースティンに教える形で自然に解説していってくれる親切設定もあるから、専門知識が無くてもわかりやすいと思う。
ただ、解剖中にご遺体の骨にさわって怪我するのは「おいおい、不注意が過ぎるだろ!今のは超常現象とか関係ないわ!!」ってツッコミ入れたくなった。あれは……ちょっと、ねぇ。病気とかあったら、確実に感染するようなヤバいやつ。
あと、ご遺体から見つかる手がかりすべてが、アメリカ北東部に、そしてセイラムの魔女裁判に繋がっていくのがなるほど~ってなる。地味に入り込んでるミステリ感、個人的には大好きだなぁ。
そして、メスを入れて手掛かりを得るほどに逃げ道が消えていくのが面白い。謎を解いて相手の正体がわかれば、対抗手段が見つかりそうな気がするじゃん?その逆になっていくの、なんか斬新な気がした。
あと、体をバラしていくほど、行動範囲とかが狭まっていくのも、なんか楽しかったなぁ。作り手、上手すぎるだろーと思った。まぁ、「トロールハンター」の監督の作品だし、面白くないわけがない!!
ところでトロールハンターハリウッドリメイクの話はどこにいったんだろう?
「ラジオが返答してるんですけど?」
なんか面白かったのが、ラジオの反応。ママが言ったの~心に光を~悪魔がきたら~みたいな、古臭い感じのカントリーミュージックが意味深で、ラジオの音楽がその曲に変わるたびに不穏な雰囲気になっていくの楽しい。ラストの車内でもこの音楽流れてたし、何かしらのスイッチみたいな役割なのかな。
映画用に作られた曲かと思ったら、The McGuireSistersの「Open up Your Heart」って曲だった。びっくり。
あとは、解剖を中止して外に出る提案したオースティンに「もう手遅れ」ってラジオがタイミングよく応えたり。これ、リアルにあったら気持ち悪いよね。何度も続いたら、超常現象……というかオカルト案件になりそう。返事するラジオ。
そんな感じの怪談話聞いた気がすると思ったら、あったわ!!
映画「残穢」の前日譚&スピンオフのオムニバスドラマ「鬼談百景」の中の「空きチャンネル」。岩澤監督作品。こっちはほぼ確実に怪奇現象(幽霊?)の仕業だけれど、上手い具合にラジオと会話できちゃってるのがおもしろ怖い。
あと、嵐のニュース流したりもしてた。これね、ジェーン・ドウが運ばれてくる前は「数日間晴れ」みたいな天気予報のニュース流してたのね。それが、ジェーン・ドウが運ばれてきたら「今夜は嵐」って天気予報に変わってて。
すごい細かいところまで伏線が貼ってあって、見つけた時には「私、天才じゃん!!」って気分を一瞬だけ味わえた。いや、ほんと、一瞬だけ……
「ジェーン・ドウの正体と目的」
ジェーン・ドウは結局何がしたかったのかって考察(妄想)してみたとき、自分が味わった痛みを他の人間にも味合わせたいんだと思った。で、トミーが傷を負うかわりにジェーン・ドウの傷が治っていったから、動く体を取り戻すのも目的なのかなーと。
魔女完全復活、みたいな。
すべてはジェーン・ドウが見せた幻覚説も否めないんだけれど、そういう夢オチ的エンドよりはロマンがあると思う。ロマンというか、物語の深み?みたいな??
まぁ、体を取り戻すのにはトミーがやったような約束(むしろ契約?)とか、ジェーン・ドウの体で怪我を負うとか、ひとりの人間としか交換できないみたいな、いろんな制約がありそうだけど。
あと、ラストで運ばれてるときに例の曲が流れてジェーン・ドウが動く、ホラー映画あるあるの、続編があるかもねって終わり方。嫌いじゃないからいいんだけれど、続編をにおわせるラストは本当に多いよね。
ところで、ジェーン・ドウ役は精巧に作られた人形かと思いきや、オルウェン・ケリーっていう女優さんだった。モデルもやってるらしいよ。
まばたきすらしないのに、滲み出る迫力がすごい。撮影角度もあるんだろうけれど、死体役なのに、かすかに感情がわかるような……でもやっぱりわからない。この女優さんの将来が、一番怖い(誉め言葉)。
エミール・ハーシュは、若手注目株からの暴力事件か何かで姿を見なくなってからの作品だったし、ブライアン・コックスも言わずと知れた名俳優だから……あれ?役者さん、実力派揃いだった。今気付いた。