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丑三つ時でもホラー映画

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夜想曲じゃなくて、丑の刻参りのどす黒さだった映画「ノクターン」

どうも。

最近、AmazonとかNetflixオリジナル作品で、驚くほどの良作が増えてる気がしてる人間です。少し前にNetflixの「イカゲーム」とか、かなり話題になってたよね。私は見てないけど。

あと、友人からすすめられたNetflixのドラマ「DARK」の続きが気になって夜しか眠れない。season2までは見たんだけど、難しいんだよ!相関図書かないとわからなくなるんだよ!!配信オリジナルだからって侮るなかれって感じだよね、ほんと。

 

そんなこんなで今回は、Amazonオリジナル映画で超おすすめの「ノクターン」について、若干ネタバレしつつ書いていきます。未視聴の人は、目次を上手く使ってぷりーず。

 

 

ノクターン

Amazonオリジナル映画。

監督・脚本のズー・クアークは、本作で長編映画監督デビューを果たした。

 

ノクターン

 

【登場人物】

  • ジュジュ(シドニー・スウィーニー):ジュリエット。通称ジュジュ。ヴィーの双子の妹。ヴィーと一緒に全寮制の音楽学校に通っている。すべてが姉とは正反対で、いわゆる陰キャ。担当教官は酒浸りのロジャー。ジュリアード音楽院を受験するが落ちてしまい、心を病んでしまう。
  • ヴィ―(マディソン・アイズマン):ヴィヴィアン。通称ヴィー。ジュジュの双子の姉。マックスという彼氏がいて、友達も多く、強気で明るい性格の陽キャジュリアード音楽院への進学が決まっている。担当教官は優秀な生徒だけを受け持つキャスク。
  • モイラ・ウィルソン(?):音楽の才能に溢れていた女子生徒。発表会でのコンチェルトのソロが決まっていたが、突然自殺した。両利きだったこと、鏡文字が書けたこと、暗い性格だったことから「マッドモイラ」とも呼ばれていた。

 

【あらすじ】

恵まれた双子の姉ヴィーと、姉の影になっている双子の妹ジュジュ。

ある日、同級生のモイラが自殺して学校の発表会のコンチェルトの座が空いたため、新しいコンチェルト選考のオーディションが行われることに。

偶然モイラの遺品ノートを手にしたジュジュ。そこには「悪魔のトリル」の譜面と、いくつもの不気味な絵が描いてあった。その絵に合わせた行動を取ると、願った通りのことが起こり始める。

やがて、同じ曲をオーディション用に選んだことから、ヴィーとジュジュは大喧嘩。ヴィーの影に徹していたジュジュは、モイラのノートを武器に野心を現し始める。

だが、モイラのノートには5枚の絵しかなかったため、ジュジュは自分で6枚目の絵を描く。そこにはジュジュが認めたくないものが描かれていた。


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【ネタバレありで書く感想とか考察】

最初に言いたい。
アマプラのあらすじに「悪魔と契約して姉の地位を奪い取る」みたいに書いてあるんだけど、悪魔なんか出てこない!!私にだけ見えてないとかいうオチじゃないよね?って思ったけど、本当に出てこない。

どちらかと言えば、「ブラック・スワン」みたいな、人間の心の闇を描いたダークな映画ブラック・スワンがどんな映画だったか思い出せない場合は、このサイトさんがおすすめ。ゴリ押しさせて。

mihocinema.com

 

共感した理由

私、3歳の頃からピアノやってました。子供の頃の夢はピアニストでした。

だから、この映画はめちゃくちゃ「わかる」。そこそこできる子ヴィー、頑張っても双子の姉に勝てないジュジュ、酒浸りでやる気ゼロだけど厳しい真実を告げるロジャー教官、いやぁ辛い。登場人物のほとんど全員が音楽の光と闇を見ていて、どちらかといえば敗北者の側にいる。

私はといえば、ジュジュと同じ。努力しても及ばない、限界が見えてる。というのも、小指が短いから出せる音に限界がある。当時習ってたピアノの先生からそれを指摘された時……子供の頃だったからロジャー教官みたいな言い方じゃなかったけど、上を目指していくのは無理に等しいって理解した。

おかげで今の仕事やれてて、しかもピアニストの次になりたかったものってのは嬉しいんだけど。

 

この前、Twitterでこんな漫画の予告?が流れてきたのよ。そうなんだよね、無いよりはあったほうが有利というか……ねぇ?
脱線するけど、この漫画読もうと思ってる!!ピアニスト繋がりってことで、ここに書かせて。

 

でね、作中でロジャー教官がジュジュに、ピアニスト以外にピアノに携われる道を勧めるわけよ。ジュリアードを落ちた責任をなすり付けられても、ジュリアード1本に絞るなと言っただろう、と。酒浸りではあるけれど、この教官はしっかり生徒を見てる。いい先生だよ。まぁ酒浸りだけどね。

その言葉の意味を理解しようともせず、自分のピアノの限界をロジャーの指導力のせいにして退職に追い込もうとするジュジュには、何も見えてないんだろうと思った。ちょっとイラっとした。悪魔の力で全てをどうにでもできるって、盲目的な何かを感じた。

 

結局悪魔はいたのか

で、結局悪魔と契約したのかって話ですよ。まぁ悪魔は出てこないけどさ(2回目)

余談だけど、作中に出てくるモイラのノートにあった悪魔と契約する譜面は、イタリアの音楽家ジュゼッペ・タルティーニが、夢の中で見た悪魔が奏でていた音楽を、そのまま譜面に書き起こしたっていう逸話があるヴァイオリンソナタ「悪魔のトリル」。ヴァイオリニスト必須の楽曲らしいよ。


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で、モイラのノートには、譜面と一緒に絵が描かれてるのね。1は悪魔との契約、その次からはジュジュの望みとその代償みたいな感じなんだけど。ぶっちゃけ、どうとでも取れるんだよね。確かにヴィーが怪我した時の様子とかは似てるけれど、似てるだけ。そのまんまじゃない。だから、結局はジュジュの歪んだ妄想なんじゃないかな、と。

悪魔との契約はあったのかもしれないし、悪魔がジュジュの願いを叶えてたのかもしれないけれど、ジュジュの妄想や思い込みの方がしっくりくる。ホラーはホラーでも、オカルトホラーじゃなくて、人間の怖さ的な?

面白いのが、ジュジュとヴィーの対比。ヴィーの怪我の後が一番顕著に違いが出てるんだけど、入れ替わったみたいに、服のモサさとか手入れ感が変化してく。

それを見ていて、双子だから1人2役か…なのにこの演技の違いはすごいよな、やっぱりプロは次元が違うなーって思ってたら、別々の女優さんが演じてたというのは忘れたい。うん。思い込みって怖い。自分の目の節穴感も怖いw

 

ラストシーン

で、悪魔と契約したら碌なことにはならないっていうホラーお馴染みというか当然のラストが待ってるわけなんですが、どれが現実なんだろう?っていう。

コンチェルトとして演奏を終え、拍手の中で輝くジュジュ。逃げて飛び降りたジュジュ。誰にも気付かれないままずっと死んでいるジュジュ。

 

個人的な感想というか考察としては、飛び降りてジュジュは死んだか、少なくても一生目覚めることはない状態。もしかしたら大怪我で済んだかもしれないけれど、音楽家生命は閉ざられただろうね。

だから、学校にある誰にも気付かれない死体は、ジュジュの音楽家生命そのもの。仮に悪魔と契約してたのが妄想じゃなかったら、契約の代償ともいえるけど、それは違うと思ってる。で、コンチェルトとして結果を残した姿のジュジュは、自分の殻に閉じこもった彼女が見続ける夢、妄想、幻想。だってジュジュには、コンチェルトをやり遂げた後にピアニストとしての未来は無いから。

ジュリアードに合格してピアニストになる、それ以外を考えられなかったジュジュは、ヴィーから真実を告げられた瞬間に未来を失ったんだろうね。

あの誰にも気付かれないジュジュは、才能があると思い込んで楽をして、自分の思い通りの夢を見続ける姿なんだと思う。落ちた直後に誰も気付かないのは、その部分を(監督が)意図的に切り取ってるから。ジュジュのピアニスト魂だけは永遠に戻らなくなってしまったっていう、暗喩になってるんだと思う。

 

 

ちなみにAmazonオリジナル映画だから、アマプラ会員の私は無料視聴できたよ!クラシック音楽好きならゴリ押ししたい。でも、悪魔は出てこ以下略

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