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【読書の秋】原作から読むか、映画から見るか

どうも。

好きな10選やり過ぎた感が否めなくなってきたので、今週のお題「読書の秋」にちなんで、原作VS映画の話を書きます。

 

というのも私、映画好きであると同時に活字バカでもあって、小説大好きなんですよ。原作読んでたのが映画化されるとか、あるある。

なのに!前に書いた「ぼぎわん」の記事みたいに、原作と映画が別モノ過ぎて納得できない!!みたいな事が多すぎる……。

yuotaso69.hatenablog.com

 

そんなこんなで、好きな小説とその映画化作品、映画版の面白さ(当社比)なんかを綴ってみます。それでは、れっつらごー。

 

 

【原作から読むか、映画から見るか】

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小説「のぞきめ」三津田信三

三津田信三のホラー小説。小説家の「僕」が入手した、のぞきめという怪異についての体験談「覗き屋敷の怪」と「終い屋敷の凶」。そして、「僕」の周囲で起こるのぞきめによる怪異。

主人公の小説家「僕」が三津田信三、主人公が「のぞきめ」執筆中に怪異に見舞われるというメタ要素たっぷりの小説。しかも、ありえない場所から視線を感じたら、一度本を閉じて下さいという注意書きまである。

 

作家本人が出てくる、実際に入手した怖い話を載せた、っていう設定だけでも、リアルなのかフィクションなのかわからない感じでモヤっとした気持ち悪さがある。

 

「覗き屋敷の怪」と「終い屋敷の凶」の体験談2つ、最終章には三津田信三のやんわりとした謎解きパートがあるんだけれど、この後味が最悪(良い意味で)。2つの話の考察、のぞきめという怪異の正体、注意喚起の理由に、読み返したくなること必須

え、大丈夫なの?ってなる。私は読んでから数年経つけれど、全く問題ないよw

 

それから、体験談2つで、中編2作読んでるイメージにも近いから、長編小説苦手って場合でも読みやすいと思う。

 

幽霊屋敷シリーズ(どこの家にも怖いものはいる、わざと忌み家を建てて棲む、そこにない家に呼ばれる)も同じ形で書かれてるから、のぞきめが気に入った場合はおすすめ。

 

私は、「のぞきめ」と「幽霊屋敷シリーズ」はハードカバーで全部持ってるし、何度も読み返してる。異変はまだ起きてない。

 

どうでもいい話だけれど、三津田信三作品、「死相学探偵」シリーズと「刀城言耶」シリーズ以外は全部読んでるくらいには好き。上の二つのシリーズは、なんとなく逃しちゃってる。

そのうち全部読みたいなぁ。

 

映画「のぞきめ」

勝手に評価[☆]

 

原作小説が怪談好きにもおすすめできる良作だったのに対して、映画はありえないレベルで残念。どうしてこうなった!!

 

最近の邦画ホラーはアイドル主演でコケるパターンが多いんだけれど、これもアイドル映画で、見事に失敗してる。板野友美がホラー映画向きじゃない。

悲鳴がね、ものすごく気になる。あんまり綺麗な悲鳴じゃない。悲鳴に綺麗とかあるかと聞かれれば、そんなものは無い気もするんだけれど。


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あと、ストーリーも原作からほど遠い。小説家の三津田信三が入手した話と体験談っていう、リアルかフィクションかの区別があいまいなところが面白いのに、板野友美演じるジャーナリストが主人公って。完全にフィクションにしちゃってる。この設定はいただけない。

原作ファンは、見ていてがっかりすると思うよ。私がそうだった。

 

ラストで、主人公の婚約者が三津田信三って名前で小説「のぞきめ」を出版してるのだけは良かった。原作ちゃんと意識してます感があって。

 

悪の教典貴志祐介

貴志祐介のサイコホラー小説。生徒や同僚からの人気が高く、保護者からの信頼も厚い高校教師蓮実聖司。その正体は、サイコキラー

はじめて読んだとき、名前からすごいと思った。「聖」って文字が入ってるサイコパス、殺人鬼、もう意図してこの名前だよね。蓮実は最初からサイコパスってわかっていて、そんな彼が高校を支配していく気持ち悪さが描かれてる。

 

私が小説を読んだのは、映画化が決定した後だったから、帯に実写版ハスミンが載ってた。だからなのか、脳内でハスミンの顏が伊藤英明に入れ替わって大変だった。個人的に、貴志祐介の小説は集中して読めないっていう謎ジンクスがあるんだけれど、これもそう。

 

ハードカバーじゃなくて文庫本を持ってるんだけれど、おまけ短編が入ってて毒気を抜かれた記憶がある。「アクノキョウテン」は、恐怖の味噌汁かよ!ってなった。本読んでて、声出してツッコミ入れたの人生初かもしれない。

 

映画版より小説の方が、キャラクターの心の動きが表されてるんだけど、ハスミンは理解できないままなんだよね。サイコパスサイコキラーだからなんだろうけど。

とりあえず、ラストの後味は最悪だった(褒めてる)

 

映画「悪の教典

勝手に評価[☆☆☆☆]

 

2012年公開、三池崇監督、伊藤英明主演の映画。

これまで熱血ヒーロー役が多かった伊藤英明サイコパス役ってことで、かなり期待して映画館に行った記憶がある。結果、かなり良作だった。胡散臭い笑顔の伊藤英明がハマり役でしかなかった。


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あと、山田孝之の変態っぷりが容赦なかった。あれは、映像化しなければわからない面白さだった。原作ではイメージしづらい音楽とかも、映像化されれば簡単にわかるんだと再確認。

 

文化祭前夜のハスミンの殺戮パーティー(勝手に命名)も、実際に明るい音楽を流しながらのシーンだったから、楽しいんだかよくわからない感情になって、簡単に原作の気持ち悪さを楽しめる映画だと思った。個人的に、原作も映画も、どっちもお気に入り。

 

「INTO THE WILD 荒野へ」ジョン・クラカワー

1992年、クリストファー・マッカンドレスという青年の遺体がアラスカで発見される、という事件が実際にあった。裕福な家庭で育ち、優秀な成績で大学を卒業したクリスが、突然行方をくらまし、すべてを捨てて旅をした理由は何だったのか?そして、何故クリスは死んだのか?

ノンフィクション作家のジョン・クラカワーが、クリスの旅の痕跡をたどりながら、聡明なクリスが亡くなった原因に迫っていく1冊。

 

私がこの本に出会ったのは、高校時代。かなり多感な時期で、家族への不満とか、このまま勉強して大学に行って、そんな人生でいいのかと悩んでた頃に読んだ。だから、自然な流れでクリスに感情移入できたし、「自分をぶっ壊す旅」にも憧れた。

旅には出られなかったけれど、「荒野へ」は私のバイブルで、小説の中の言葉のひとつひとつが大切な宝物。それがたとえ、クリスの死であっても。

 

お涙頂戴の大袈裟な感動ストーリーじゃないし、ただ美しく飾っただけじゃないクリスの一生を淡々と追っていくのに好感が持てる一冊。

 

余談だけれど、大人になってから、作中に出てくるヘンリー・D・ソローの「ウォールデン 森の生活」のハードカバー版を手に入れた時は飛び上がるほど嬉しかった。お値段がね、結構いいんだよ。

 

映画「INTO THE WILD」

勝手に評価[☆☆☆☆☆]

 

2007年、ご遺族に長年頼み込んで許可を得たショーン・ペン監督が映画化

エミール・ハーシュ演じるクリスの姿や、旅の途中での美しく残酷な景色の数々、人々との出会いと別れ、最期の姿はただただ圧巻される。

荒野の廃バスでの生活、過酷な自然の前では人間は弱い生き物だという事実、ただ美しいだけではない物語すべてがリアル。あと、主演のエミール・ハーシュは、クリスを演じるためにかなり体重を落としたらしい。ラストシーンとか、心配になっちゃう。


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クリスの最期のセリフは想像でしかないんだろうけれど、違和感なく受け入れられる。それはきっとクリスが旅で得た答えだろうし、クリスの事を考え、時に憧れ、安らかな眠りを祈る私たちの願いでもあると思う。

映画のヒット後に、クリスの廃バスが観光地みたいになっちゃって撤去されたという噂を聞いたんだけれど、もし本当だったら悲しい。あるがままに朽ちて欲しかった。

 

涙なしには見られないし、何度見ても泣いちゃう作品。私は、初回限定盤DVDも買った。

 

「シャイニングスティーヴン・キング

冬になると雪に閉じ込められてしまうホテルの、冬の間の管理人になった一家。アルコール依存症で小説家を目指す父が探し出した仕事だったが、そこは曰く付きのホテル。しかも、幼い息子にはシャイニングと呼ばれる超能力があった。

 

ホラーの王様ことSキングの小説、しかも有名映画の原作。私は、原作を先に読んだ派だったりする。映像化作品が多いキング小説だけれど、これはジャック・ニコルソンの顏のポスターが有名。

小説では、息子ダニーと料理長ハロランさんの交流が多かったり、ホテルに支配されていく父ジャックが描かれてて、映画版とはかなり違う中身になってる。

これから冬になるし、雪が降ったときに読むと雰囲気が出るかも。

 

映画「シャイニング」

勝手に評価[☆☆☆☆]

 

1980年の、スタンリー・キューブリック監督作品。

実は、原作とかなり違う内容になってる。そのことで原作者スティーヴン・キングが大批判した末に、自分でドラマ版を作っちゃったのは有名な話。

 

原作との違いは否めないんだけれど、映画版は全く別モノとして見れば面白い。ホテルにそそのかされて精神が破綻していくジャックの狂気とか、超能力で幽霊が見えちゃって怯えるダニーとか。双子の女の子の幽霊とか、有名だよね。

 

2019年には続編「ドクター・スリープ」が制作されて、双子の正体が明かされたとか?実はまだ見てないから、早く見たくて仕方ない!!

マイク・フラナガン監督作品だし、面白いと信じてる。

 

 

今回は、本棚からお気に入りの小説出しつつ書きました。全部持ってるし、他にも書こうと思った作品があるから、秋のうちに第二弾やろうかと考え中。お題期間が終わらなければ書くかも。

 

そうそう!!

今年買って読んだ小説で一番面白かったのが、雨穴さんの「変な家」。これはもう映像化されてる……雨穴さんのYouTubeチャンネルで。笑


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雨穴さんの異様な世界観にハマって1年以上経つ私は、「変な家」書籍化お知らせ動画だけを貼って、脱兎のごとく逃げるとしよう。