ほんとにあった幽霊ストーカー「屍憶 SHIOKU」
どうも。
民俗学大好き人間、柳田国男先生の書籍の文庫本はだいたいバッグに入ってる人です。
民俗学はロマンが有り余ってる!!
学生じゃなくなった今でも、独学で民俗学にかじりついてるし、その影響で歴史関係も大好き!古事記も日本書紀もしっかり読んでる派。
言いたいことはアルプス山脈レベルであるんだけれど、とにかく民俗学が好き、とだけ言っておきます。誰得?
そして、そんな私の民俗学愛を大いに刺激してくれた映画の感想を書いていきます。
余談だけど、台湾映画ってほとんど見ない。
中国、韓国あたりの映画やらドラマやらの知識ゼロ民。
文化の違いがわからないから、映画見てもわからない部分が多過ぎなんだよねぇ。
【目次】
「屍憶 SHIOKU」
2015年に製作された日本と台湾の合作ホラー映画。
監督、脚本はリンゴ・シエ。
プロデューサーは、一瀬隆重。
「未公開ゾーンの映画たち2017」で公開された。
【登場人物】
・ハウ(クリス・ウー):TVプロデューサーをしている男性。婚約者のイーハン(ニッキー・シエ)と同棲中。「冥婚」についての番組に関わってから、悪夢にうなされるようになる。番組インタビュアーの女性に片思い中の男友達がいる。
・インイン(ヴェラ・イェン):もう一人の主人公。ショートカットの普通の女子高生だったが、16歳の誕生日に突然幽霊が見えるようになる。最初に見た幽霊は、親友の愛犬。水泳部に所属している。母親は仕事が忙しく、あまり家にいない。なお、父親は登場しない。
【あらすじ】
結婚を控えているTVプロデューサーのハウは、「冥婚」についての番組を担当してからというもの、悪夢にうなされるようになっていた。
そしてある日ジョギング中に赤い封筒を拾うが、目を離した刹那、封筒は跡形もなく消えていた。
やがて周囲で不可解な現象が起こるようになり、婚約者のイーハンとの生活も悪夢に侵食されていく。
困ったハウは、番組に出演していた霊能力者に相談をする。
すると、ハウには女の霊が憑いていると言われ、それは前世に関係している事だとわかるのだが……。
一方、女子高生インインは16歳の誕生日を迎えてから、この世ならざるものが見えるようになってしまう。
隣の部屋の前にいた幽霊に取り憑かれ、毎日のように部屋に現れる幽霊に怯える日々を過ごすインイン。やがて水泳部の合宿先でトラブルに巻き込まれ、幽霊が見える理由や、幽霊について知ることに。
【感想とか考察とか】
監督のリンゴ・シエは知らないんだけど、プロデューサーの一瀬隆重はJホラー界の重鎮的存在だし、有名だよね。
かの有名な極悪ストーカー幽霊こと伽椰子ママンの「呪怨」シリーズでは、製作やらプロデューサーやら、とにかくどこかに名前入ってるし。流石にスマホからは出られません悲報発動中の貞子ちゃんの「リング」シリーズも同じく。
他にも、私が大好きな白石監督作品「ノロイ」「カルト」のプロデュースしてたり、ホラー映画のどこかしらには名前が出てくる。
わりと、ジメジメ感満載のJホラーに関わり深いイメージだからかな?「屍憶 SHIOKU」も、Jホラーのジメジメ感が溢れてる。梅雨か?!ってくらい。
でもね。
日本の女優さんも出演してるはずなのに、存在感無い‥‥。どこにいるんじゃー、日本人キャスト!!そもそも、無理して日本人キャストねじ込む必要あった?
合作映画っつーより、一瀬さんの台湾進出作品にしとけばよかったんじゃないの??身も蓋もない話だ。
「冥婚ってなんぞや」
どこそこのお子さん、未婚のまま死んじゃった。それじゃ可哀想だから、誰かと結婚させよう!相手どうする?未婚の人に赤い封筒拾わせて、その人にしましょ~そうしましょ~みたいな風習です。すっごい簡単に言うと。
ちなみに、赤い封筒拾ったら、問答無用で結婚相手にさせられます。拒否権なんぞありません。しかも、冥婚=あの世に逝ってらっしゃい。
昔の日本にもあったよね、冥婚の風習。「ムサカリ絵馬」とか。東北のごく一部の地方には、そういう文化もまだ残ってるとか無いとか。まぁ、相手は絵馬に描かれた人物だったり、人形ってとこもあって、実在の人間にはしないらしいけど。
作中では、日本には無い文化とか言っちゃってるけど、あったから!!
未婚の相手が見つからないからって、墓泥棒(死体泥棒)して闇市場とかで売ってたこともあるらしい。これが結構儲かったらしいから、怖いよね。しかも、冥婚相手を●した事件も実際にあるらしいよ。
いやいやいや、映画ガチじゃん!ほんとにあった系じゃん!!
あー、そういえば、作品のオープニングで「実際にあった話をベースにしてます」ってテロップあったかも。
「伏線回収までしっかりやりました」
主人公が二人、そして一人は霊感少女ってことで、能力に目覚めたばかりの霊感少女が冥婚に巻き込まれたハウとイーハンを救うって展開はなんとなく察せる。ホラー映画好きなら、こういう展開は察せると思う。
ただ、そういうホラー好きが読めるであろう展開の裏を突いてくる部分があって、ものすっごく上手い。全部がつながった時「ヒェーーーーー」ってなる。
ただ、うっとおしいくらいハウとイーハンのイチャコラシーン見せられたりは、する。最後の「謎は全て解けた!」って、じっちゃんの名にかけて言えるシーンで、そこまで込みで?ってなる。
相手がアレで、だとするとイチャコラしてた相手も?えーーーーー!!想像したら吐き気がするから、しないことをおすすめします。
変に浮気疑ってたのも、ハウの親友の片思い相手に勘違いの嫉妬とかじゃないのか?!バスルームの幽霊はアレなのか(ネタバレ防止)!!
ただね、個人的な感想なんですけど。
イーハンと冥婚ストーカー幽霊女(ストーカーやろがい)の普通の顔の区別がつかない。六回くらい見直して、やっと区別がついた。
台湾とか中国、韓国の映画・ドラマをほとんど見ないからかな?二人の主人公以外、ほぼ区別がつかない。
インインは唯一のショートカットだし、インインの親友の子は癖毛(パーマ?)でわかりやすいけど、他はもう区別が‥‥日本人キャストもどこにいたの?感がすごい。
海外ドラマとかで、アジア人の顔が判別しづらくて中国系の俳優さんを日本人役にしちゃう問題よくあるけど、「これかーーー!」って思った。謎が全て解けた!!
まぁ、いたるところに伏線張り巡らしてて、回収もしっかりしてるから、終盤で面白さが倍になる。それまで、割とだら~っとしてるストーリーなのに、終盤にきてスピードマックス。序盤がつまらなくても、最後まで見ると「こっわ」ってなる。
しかも、原因が前前前世(RADかよ)にあるとか、予想の斜め上を行ってくれるのは良いよね。冥婚の相手選びの理不尽さが、すごい上手く描かれてる。前世のことを調べたら変なものが出てきちゃった件も、割と怖い。というか気持ち悪い。
「キャラ設定がイマイチ」
ストーリーはそこそこ面白いし、ちゃんと怖がらせようとしてくるホラー。
なのに、キャラ設定とか背景が謎だらけ。だから面白味に欠ける。
まぁ、主人公二人にした段階で詰め込み感半端ないし、それが理由でキャラ背景を描く時間が足りなくなってるからなのかなー。
インインに霊能力がある理由は家系だとしても、16歳で覚醒した理由とか、父親の存在が空気なのも謎だし。海外出張設定とかで、それカットされたとか?母子家庭設定だったけど、台湾の映画コード的にNGだったとか?
ハウとイーハンの関係も同棲中、婚約者ってだけで、それが何か?って感じ。薄っぺらいというか、深みが足りない。
ハウは仕事人間なの?作中のイーハンは嫉妬深いの?もうちょっと描いてくれよ。
ハウの男友達も重要キャラなのに、名前すら出てこないし、どんな人かもよくわからない。ハウの番組のインタビュアーの女性に片思いしつつ、自分が推薦したとか言ってるけど。仕事仲間なの?最後まで「ハウの男ともだち」は、ちょっと‥‥。
キャラ設定しっかりしておいてー!!
下手したら、冥婚ストーカー幽霊が一番キャラ濃かったわ。死因とか、豹変前の美人な顔とか、豹変後のトラウマ級の顔とかしっかりしてたのに。
あと、霊能力者おばあ様も濃かった。活躍してくれなかったのが残念。
ただね、Jホラーあるあるの「うしろ!うしろ!」ってのとか、チラッと幽霊登場シーンばかりかと思えば、がっつり幽霊出てくる場面とかもあって、怖がらせ方はJホラー&ハリウッドのハイブリット的な感じ。
私みたいにどっちも見飽きたって人とか、ハリウッド的ホラーの幽霊がっつり出てきます展開を見たい人とか、Jホラーのジメジメ幽霊を見たい人にもおすすめできる。
まぁ、ぶっちゃけ、どっち付かずで面白くないって事も無きにしも非ずだけど。
とにかく、赤い封筒は絶対に拾っちゃいけないという教訓を得られる映画だと思います。
中国では、お年玉とかも赤い封筒に入れるみたいだけど、落ちてるのを拾ったらダメ。例え話じゃなくて、ガチで人生終わる。
最後に、どうしても言いたかったことを残します。
供養の方法、雑過ぎやろwww