【ネタバレ注意】この青春はビター味「ブルー・マインド」
どうも、お久しぶりです。
ホモサピエンスです。
某大手レンタルショップでDVDパッケージを見たときから気になっていたものの、タイミングを逃し続けていた映画のひとつ「ブルーマインド」。
アマプラでの期間限定の無料配信、終了の三時間前というギッリギリの状態で見てきました。一度目は寝落ち、二度目は単調さにギブしたとかしてないとか。
ちな、見終わった直後の感想。
「これレーティング18じゃなくていいの?」
グロい、えげつない、ボカシ入れまくってるの三拍子。ほろ苦ビター味。
今回はネタバレ全開で書いていくので、ネタバレNGの方はプラウザバック等をおすすめします。
あとは、目次使ってくれてもいいかも。
【目次】
『ブルーマインド』
両親の仕事の関係で新しい街へと引っ越してきた15歳の少女・ミア。
親の都合に振り回されることへの苛立ちと、大人の女性へと変わっていく自分自身への言いようのない不安の中、ミアはクラスでも目立つ存在のジアンナたちと仲良くなる。
アルコール、万引き、男の子たち、ミアは憂鬱な気持ちを振り払うように、仲間たちと悪い遊びに手を染めていく。そんな中、彼女は決定的な体の変化を感じ始める。しかし、それは「成長」と呼ぶにはあまりにも不自然なものだった。果たしてミアの身に一体何が起こっているのか?彼女を待ち受ける過酷な運命とは?
【登場人物】
・ミア:ルナ・ウェドラー
15歳の少女。親の転勤で新しい街に引っ越してきたばかり。ペットの魚を可愛がる母と、母を大切にする父との、平凡だが理想的な家庭で暮らしている一方で、息苦しさを感じている。
・ジアンナ:ゾエ・パステル・ホルトゥイゼン
ミアのクラスメイトの不良少女。留守がちな父との2人暮らし。離婚した母は、アメリカに行ったらしい。ジアンナを迎えに来ると約束していたが5年以上連絡がない。
・ネリー:ルー・ハルティンナ
・ヴィヴィ:ヤエル・マイヤー
2人ともミアのクラスメイトで、ジアンナと同じグループの不良少女。
・ソフィ:ウーナ・ルスカ
ミアのクラスメイトの少女。ジアンナたち不良は幼稚だと思っている、優等生タイプ。ミアと親しくなろうとするが、拒絶されている。
監督・脚本
リサ・ブリューマン
【ストーリー】
新しい街に引っ越してきたばかりのミア。
クラスの不良ジアンナたちと仲良くなりたがったミアは、ジアンナの自宅に招待されるが、ポルノ動画を見せたり、タイプの男を聞いて出会い系のようなサイトに登録させられる始末。
やがてジアンナはハイになれる首絞めゲームをしたがるが、ネリーもヴィヴィも嫌がる。だが、興味を持ったミアは、首絞めゲームを試す。
海中に沈むような感覚に陥ったミアは、慌てて家に帰る。
そしてミアは、母親が飼っている魚を衝動的に食べてしまった。
ジアンナたちと仲良くなりはじめたミアは、初潮を迎える。15歳だった。
自分の足の人差し指と中指がくっつきかけていることに愕然としたミアは、病院へ行く。
合指症と診断され小児科での手術を勧められるが、合指症とは本来は先天性のもので、ミアのそれは初潮と同時に始まった。
他の指もくっつきかけていると気づいた医者は精密検査を受けさせるが、怖くなったミアは逃げ出してしまう。
やがてミアは、ジアンナたちに登録させられたサイトに連絡をしてきた35歳の男性とホテルに行き、処女を失う決意をする。
だが、事に及ぼうとしたとき、男性はミアの足首に黒いアザがあることに気付く。指摘されたミアは、慌てて逃げ出してしまう。
その後、ジアンナたちのチームの男子と初体験を済ませたミアは、彼らの仲間に入る。
だが、反抗するようになったミアと、派手な格好でミアと親しくするジアンナをよく思わないミアの両親は、クラス行事のコニーランド行きを許さなかった。
ジアンナの悪だくみでコニーランド行きを成功させ、タバコも酒も麻薬も性行為も覚えたミアだったが、初体験の相手からは振られてしまう。
そこでミアは、自分の足全体に黒いアザが広がっていて、へそも消えていることに気付く。
コニーランドから帰ったミアは、悪事がバレて両親と大喧嘩をする。
足のアザはひどくなる一方で、体全体に変化が起こり始めていた。
体の変化は遺伝的なものと思い、自分が養子だと疑うミアだったが、両親は否定し証拠も見つからない。
そして両親はミアを残し、招待されていた結婚式に行ってしまう。
【以下、ネタバレ有り】
ある日、パーティーに呼ばれたミア。
しかしジアンナが湖に落ちてしまい、ミアはジアンナを助けるために湖に飛び込む。
ジアンナを助けたミアの体は、まるで魚のように変化しつつあった。
ジアンナに変化した体を見られて絶望したミアは、酒やドラッグに溺れ、不特定多数の男性との性行為にも抵抗を感じなくなっていた。
ジアンナはミアを助けようとするが、ミアはそれを頑なに拒否する。
だが、ミアの体を見た男たちは、彼女を「化け物」と罵った。
ついにミアは、自殺を試みる。
だが、目覚めたミアは人魚になっていた。
水の中でしか生きられないと悟ったミアは、ジアンナに助けを求め、海まで連れて行ってもらう。
そしてミアは、ジアンナが見守る中、海へと帰っていった。
【ネタバレ上等で書いていく感想とか】
まずこの映画、ただのホラー映画じゃなかった。
ミアの思春期ならではの息苦しさと体の成長の変化を、人魚が海に帰る、っていう独特の表現で描いた作品。
青春映画というか、ヒューマンドラマというか…だけどやっぱりグロいシーンが多いからホラーでいいのかねぇ?
あとね、自分の中での女性監督あるあるなんだけど。
「暗喩表現で見せる」ってのが多かった。
例えば、最初の頃はミアはずっとショートパンツなのよ。ジアンナたちもね。で、自慢の脚!って思ってるのがよくわかる。
それが足にアザができ始めて、ミアだけは足を出さなくなって、最後には…。
自慢の脚を失うミアの恐怖と、一見変化が無いように見えるけれどミアに対しての心の変化が起こるジアンナとの違いを見せるのが上手いなーと。
そういえば、ミアとジアンナの距離がめちゃくちゃ近い作品なんですよ。
得てして言うなら、恋人同士かってくらいの距離感。
でも、彼女たちが同性愛者だという直接的な表現は無いわけ。これ、思春期ならではの、他人との距離感を掴めないあるあるだと思う。
「ブルー・マインド」って検索すると「百合」って出てくるんだけど、それは違う~!ってめっちゃ思ったから。
実際さ、小学校高学年から中学の頃まで、距離感詰めすぎてくる子って稀にいたもん。
で、ちょい役な感じで出てくる優等生ソフィアちゃん。ストーリーには、そこまで深く関わる事はないんだけれど。
ステレオタイプの今時の子のミア、不良グループのジアンナたち、優等生ソフィアの対比とか存在感がこれまた上手い!
なんかこう……不良グループが良く見える、どっちかと言えばジアンナたちと仲良くしときたい、っていう、ステレオタイプのティーンエイジャーの気持ちがわかってる監督だわー。
あと、反抗期とか親との距離感の変化も上手い。
序盤では眠れないミアがママンのベッドに向かうシーンがあるのに、途中で両親はミアを残して結婚式に行く。
娘が不安定な時期に、両親が泊りがけで家を空けるかって話なんだけど、それも「反抗期の娘と両親の距離」を表現してる。
で、序盤で出てくる、幼い少女が立ってる砂浜と海と、ラストでミアが向かう海、同じだよね。
これ、綺麗な海じゃないってとこが、個人的に心惹かれた。
綺麗な海の方が見た目はいいけどさ、ミアが人間として生きた人生って純粋で美しいものじゃないし。
ちょっとくらい見た目の悪い海の方がリアリティがある!
あと、海辺にいた幼い少女が昔のミアで陸に上がった人魚なのか、幼い頃のジアンナなのか、ミアやジアンナの子孫になるのか…赤の他人なのか。
まぁ幼いミア説が一番しっくりくるけど、最初と最後が海で繋がったとき、「あ、これ人魚姫なんだ」って思った(個人的に)
余談だけど、「人魚」って一口に言っても、いろんなバリエーションがあるんだよねぇ。
有名なのは、アンデルセン童話の人魚姫。
日本でも人魚の肉を食べて不老不死になった、八百比丘尼伝説ってあるよね。
あとはセイレーン、メロウ、ローレライ、鮫人、氐人とか。とりあえず知ってる人魚関連の単語だけでも、これだけ出てきた。
ちな、アンデルセン童話と言えば、赤い靴に執着し過ぎて呪われちゃって、赤い靴を履いたまま踊り続けるハメになって最終的に足を切り落とす話が、ある意味好きです。
赤い靴を履いた足だけがくるくる踊り続けてるのって、子供の頃の私にとってはホラー過ぎた。インパクト強すぎて忘れらんねぇよ状態とも言う……言わない?
「赤い靴」は、1948年に映画化もされてるっぽいし、アマプラで配信されてるから、近いうちに見てみようかと検討中。
ただ、バレエ映画みたいなんだよね……悩みどころ。